不倫慰謝料請求の際の減額交渉について

　不倫慰謝料の請求があった場合、状況によっては、請求金額に比べて実際に支払う金額が低減されるケースもあります。

　代表的なケースとしては、次のものが挙げられます。

　①当初の請求額が相場を大きく上回る金額である場合

　②不倫相手が既婚者である認識がなかった場合

　③不倫以外の理由で既に夫婦生活が破綻していた場合

　④不倫の期間が短い場合や不貞行為の回数が少ない場合

　以下、それぞれについて説明します。

　不貞慰謝料には、裁判例などを元にした相場があり、一般的には５０～３００万円程度とされています。

　もっとも、不倫慰謝料請求は感情が強く働く事件類型でもあることから、はじめは相場を大きく上回る慰謝料請求がなされることが多いです。

　仮に当初の請求額が５００万円であったとしても、様々な事情を考慮した結果１００万円程度の慰謝料となることが想定される状況であれば、交渉や訴訟等により最終的な支払額は下がる可能性があります。

　不倫慰謝料は不法行為に基づく損害賠償金ですので、法律上は不貞行為をしていることについて、故意または過失があった場合に発生します。

　不倫相手が独身であると偽っていた場合などには、不倫慰謝料を支払う義務が発生しないこともあります。

　不倫慰謝料は、不倫をされた側の配偶者の、平穏な夫婦生活を送る権利を侵害した場合に発生します。

 逆に言えば、この権利が存在していない場合には発生しません。

　具体的には、不貞行為をしていた時点で、不倫以外の理由で夫婦関係が破綻し、別居していて連絡もほとんど取り合っていなかったというような場合、不倫慰謝料を支払う義務は発生しません。

　不倫期間が短い場合や、配偶者と不倫相手との性行為等が１回などの場合、平穏な夫婦生活を送る権利の侵害が大きくないと考えられ、不倫慰謝料が低くなる傾向にあります。